冷蔵庫や冷凍庫の庫内は湿度の低い環境です。
そのため葉物野菜などはペーパーとビニール袋の二重梱包などで乾燥を防がなければシワシワになってしまいますし、肉や魚は干からびてカチカチになってしまいます。冷蔵庫や冷凍庫を利用して食材を長持ちさせるためには特徴を理解しておくことが大切です。
しかし冷蔵庫の湿度の低さがメリットになることもあります。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 冷蔵庫が乾燥する仕組みは?
- 乾燥させたくない食材の保存方法は?
- 食材の乾燥に冷蔵庫が適している理由は?
冷蔵庫が乾燥するのは2つの理由によるものです。
冷蔵庫や冷凍庫は室温よりも低い状態に保たれます。温度が下がると飽和水蒸気量が低下しますので相対湿度は高くなりますが、現在普及している多くの冷蔵庫や冷凍庫は結露を防げる強制対流式(ファン式)であるために上昇した余分な湿度は排出されてしまいます。
また食材に含まれている水分(水分子)には温度の低い方へと移動する性質があるために食品の乾燥はより一層進みやすくなります。
低温により乾燥する仕組み
温度が下がると飽和水蒸気量も下がります。
湿度には相対湿度と絶対湿度の2通りがあり、一般的に湿度と呼ばれているのは相対湿度になります。相対湿度は飽和水蒸気量あたりの水分量のことを指し、絶対湿度とは空気重量あたりの水分量のことを指します。
そのため飽和水蒸気量が低くなることで相対湿度は高くなることになります。
- 相対湿度:飽和水蒸気量あたりの水分量
- 絶対湿度:空気重量当たりの水分量
しかし多くの冷蔵庫では庫内の湿度は低くなります。
これは現在普及している冷蔵庫や冷凍庫の多くには結露を防ぐための仕組み(霜取り装置)がついているためです。食材を保存することにより一時的には湿度の上昇が起こりますが、余分な水分はすぐに放出されてしまうために低湿度が維持されることになります。
冷蔵庫が乾燥しやすいという特徴は調理(食材の水分を抜く、食材の表面を乾かすなど)に利用されることもあります。
温度差により乾燥しやすくなる仕組み
水分は温度差により移動します。
食材に含まれている水分(水分子)には温度の低い方へと移動する性質があります。そのため常温(20~25℃ほど)であった食材を冷蔵庫に入れると、食材内部の水分は外側へと向かって移動していくことになります。
結果、庫内の湿度が低いことも相成って乾燥が進みます。
また水分子の移動は冷凍庫内でも起こります。温度差による水分子の移動は家庭用冷凍庫の機能(-18℃)では止まりませんので、空気に触れた状態で冷凍してしまうと霜が生じて冷凍焼け(乾燥による変質)を起こしてしまうことになります。
家庭用冷凍庫での保存にはひと手間が欠かせません。
食材を長持ちさせるための保存方法は?
食材の保存にはポイントがあります。
たとえば葉物野菜を冷蔵保存する場合には「ペーパーとビニール袋による二重梱包にする」ことで長持ちするようになりますし、肉や魚を冷凍保存する場合には「できる限り空気を抜くようにパッキングする」ことにより冷凍焼けを起こしにくくなります。
手間はかかりますが効果は絶大です。
- 冷蔵保存(葉物野菜など):直接庫内の空気に触れないようにする
- 冷凍保存(肉や魚など):食材が空気に触れないようにする
二重梱包の目的は水滴を防ぐことです。
葉物野菜はビニール袋で売られていることが多いですが、そのまま冷蔵庫に入れたのでは野菜から抜け出た水分(水滴)によりすぐに傷んでしまいます。しかしペーパーに包んでからビニール袋に入れて保存することにより「余分な水分は新聞紙に吸着する」「ビニール袋の中は適度な湿度が保たれる」などの理由により驚くほどに日持ちするようになります。
おすすめできるテクニックのひとつです。
まとめ・冷蔵庫や冷凍庫が乾燥する理由は?
冷蔵庫や冷凍庫は乾燥しやすい環境です。
これは「低温による飽和水蒸気量の低下」や「温度差による水分子の移動」などによるものであり、食材を良い状態で保存するためには二重梱包や真空パックなどのようなひと手間が欠かせないものとなります。手間に感じられるかもしれませんが、食材を長持ちさせるためには必要な作業です。
しかし乾燥しやすいという特徴は調理(食材の水分を抜く、食材の表面を乾かすなど)に利用されることがあることからも悪い面ばかりではありません。