
鉄フライパンにはメリットがあります。
一般的なフライパンには表面加工(フッ素樹脂加工など)が施されているために「食材がくっつきにくい(焦げ付きにくい)」「余熱の必要がない」「料理を入れたままにできる」「濡らしたままでもサビることがない」などのメリットがあります。
しかし鉄フライパンには鉄フライパンならではの良さがあります。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 一般的なフライパンとの違いは?
- 鉄フライパンを使うことによる利点は?
- 料理が美味しくなりやすい理由は?
鉄フライパンは重く、表面加工の施されていないフライパンです。
フライパンが重いことにより「フライパンの温度が安定しやすい」「伝導熱の他に放射熱による伝熱が得られやすい」などのメリットがあり、表面加工がないことにより「味に深みが出やすい」「メイラード反応が起こりやすい」「半永久的に使い続けることができる」などのメリットがあります。
多少のクセはありますがおすすめできるフライパンです。
スポンサーリンク
熱容量が大きい
鉄フライパンは熱容量の大きなフライパンです。
熱容量とは物体の温度を上昇させるのに必要な熱量のことであり、熱容量が大きいほどに温まりにくく冷めにくい性質を持つことになります。そのため熱容量の大きな鉄フライパンは「調理中の温度が安定しやすい」「食材への加熱ムラができにくい」などの特徴を持ちます。
重さにも価値があるということです。
- 温度が安定しやすいために料理の仕上がりが良くなる
- 表面はパリッとしていて中はふっくらと仕上がりやすい
また熱容量の大きさは輻射熱にも影響します。
熱の伝わり方には「伝導伝熱(conduction heat transfer)」「対流伝熱(convective heat transfer)」「放射伝熱(radiation heat transfer)」の3種類があります。フライパンは主に金属板に伝わってくる熱(伝導伝熱)を利用する道具ですが、熱容量の大きなフライパンでは放射熱も大きくなります。
放射されるエネルギーは温度の4乗に比例することからも仕上がりへの影響力は小さくありません。
寿命が長い
鉄フライパンは半永久的に使えます。
一般的なフライパンには表面加工(フッ素樹脂加工など)が施されています。それにより「食材がくっつかない」「金属の溶出や腐食を気にする必要がない」などのメリットが得られています。しかし表面加工は劣化しますので数年おきには買い換える(または再加工に出す)必要があります。
その点、鉄フライパンには表面加工がありません。
鉄フライパンは油膜(油脂が酸化重合することで形成される樹脂皮膜)により食材をくっつきにくくしています。そのため油膜がダメになっても何度でも作り直せますし、大豆油やハイリノールタイプのヒマワリ油などを使っていれば使用を重ねるほどに扱いやすくなって(フライパンが育って)いきます。
鉄フライパンは深いサビにさえ注意していれば何度でもリセットできます。
鉄の溶出がある
鉄フライパンには鉄の溶出があります。
調理による鉄溶出量は微々たるものですが、溶け出た鉄には「味」と「メイラード反応」への影響力があります。そのため「食材の味が濃く感じられやすい」「焼き色や芳ばしい香りが生じやすい」などの特徴を得られやすくなります。
しかし食材による差異が大きいために必ずしもプラスに作用するとは限りません。
- 微量の鉄には味を深める作用がある
- 鉄にはメイラード反応を促進させる作用がある
鉄溶出はごく微量です。
100gの玉ねぎに50gの水を加えて5分間加熱する実験においては0.08mg、食塩1gの添加により0.40mgの溶出が確認されています。また食塩1g+トマトケチャップ15gの添加により1.04mg、食塩1g+食酢5gの添加により2.26mgなどのように酸が加わることにより溶出量は大きくなります。
料理が鉄臭くなることがあるのは酸の影響です。
スキレットよりも扱いが楽
スキレットは熱容量の大きな調理道具です。
鉄フライパンは鋼鉄をプレスもしくは打ち出しで作られていますが、スキレットは鋳鉄(キャストアイアン)で作られています。そのため基本的な性質に大きな違いはないものの、厚みや重さが異なるためにスキレットは熱容量が大きくなる傾向にあります。
放射伝熱もスキレットの方が大きくなります。
熱容量 | 扱いやすさ | くっつきやすさ | |
---|---|---|---|
鉄フライパン | 〇 大きい |
〇 扱いやすい |
△ くっつきやすい |
スキレット | ◎ とても大きい |
△ 扱いにくい |
〇 くっつきにくい |
料理の仕上がりはスキレットに軍配が上がります。
鉄フライパンよりも熱容量が大きく放射率(輻射率)の高いスキレットは料理を美味しくします。しかし熱容量が高すぎるために準備や後片付けには時間がかかりますし、鋳鉄(キャストアイアン)であるために衝撃や温度変化により割れてしまうことがあります。
そのため日常の料理には鉄フライパンをおすすめしています。
まとめ・鉄フライパンのメリットは?
鉄フライパンにはメリットがあります。
鉄フライパンには熱容量が高いために「温度が安定しやすい(温度が下がりにくい)」「伝導熱だけではなく熱放射による伝熱が得られやすい」などのメリットがあり、表面加工が施されていないために「寿命が長い」「鉄の溶出がある(味に深みが出やすくメイラード反応が起こりやすい)」などのメリットがあります。
扱いには多少のコツが必要ですが、慣れると手放せなくなるフライパンです。