アルミフライパンの評価は割れます。
家庭料理におけるアルミフライパンの必要性は決して高いものではありません。しかしパスタやソースを好んで作る場合にはアルミフライパンのメリットは大きくなります。必ずしも必要なものではありませんが、料理にのめり込むほどに欲しくなっていくフライパンです。
個人的には想像以上に出番の多いフライパンになっています。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- アルミフライパンを使う目的は?
- パスタにアルミフライパンが重宝される理由は?
- 家庭料理にアルミフライパンは必要ないのか?
アルミフライパンはパスタやソース作りに向いています。
アルミニウムには「熱伝導率に優れている」「熱容量が小さい」という特徴があるためです。熱伝導率が良いために素材に対して均等に熱が入り焦げにくくなりますし、熱容量が小さいために細やかな温度管理が可能になります。
しかしこれらの特徴は肉や魚が張り付いてしまいやすい特徴でもありますので(汎用性は低く)フッ素樹脂加工のフライパンや鉄フライパンなどとの使い分けが必要になってきます。
アルミフライパンの特徴は?
アルミニウムは熱伝導率に優れています。
熱伝導率とは「熱の移動のしやすさ」ですので熱伝導率に優れているということはフライパン全体が均一に温まりやすいということになります。熱容量は「素材が蓄えられる熱エネルギーの量(比熱×質量)」ですので熱容量が小さいということは温度を変化させやすいということになります。
以下は熱伝導率と密度の比較です。
熱伝導率 W/(m・k) |
密度 g/cm3 |
|
---|---|---|
銅 | 398.0 | 8.96 |
アルミニウム | 237.0 | 2.7 |
鉄 | 80.3 | 7.87 |
ステンレス SUS405/SUS304 |
27.0 | 7.9 |
アルミニウムは軽く熱伝導率に優れた素材です。
これらのことからもアルミフライパンには「熱ムラができにくい」「温度の微調整が容易にできる」というメリットがあることになります。しかしこれらの特徴は張り付いてしまいやすい特徴でもありますので、肉や魚を焼くのには向いていません。
基本的にはパスタやソース作りの専用フライパンになります。
パスタ料理に重宝されている理由は?
アルミのフライパンはパスタ料理に向いています。
これはアルミニウムが温度を変化させやすい素材であるためであり、火にかければ素早く温度が上がりますし火からおろせば素早く温度が下がります。この特徴は微妙な温度管理を要求されるパスタに向いています。
たとえばペペロンチーノは油とゆで汁を乳化させてソースがパスタに絡むように調理されますし、カルボナーラは火を通しすぎてしまうと台無しになってしまいます。いずれも微妙な温度管理がポイントになりますのでアルミフライパンが重宝されています。
温度変化の緩やかな鉄フライパンとは反対の特徴を持つことになります。
ソース作りに向いている理由は?
アルミフライパンはソースやルウ作りにも向いています。
ソースやルウは「焦がさないこと」がポイントになります。ホワイトソースやブラウンソースのもとになるホワイトルウやブラウンルウは小麦粉をバターで炒めて作ります。ルウを焦がしてしまうと香りが悪くなってしまうために料理を台無しにします。
焦がさないためには熱伝導率の良い道具を使うことです。
アルミフライパンは熱伝導率に優れているために鍋底全体が均一に温まります。そのために鉄やステンレスのフライパンを使った場合と比べてソースやルウが焦げにくくなります。パティシエが銅鍋を使っているのは銅が熱伝導率に優れた素材であるためです。
しかし銅は高価な素材であるために一般的にはアルミ鍋が使われます。
フッ素樹脂や鉄フライパンとの使い分けは?
フライパンは使い分けられます。
アルミフライパンは「温まりやすく冷めやすいフライパン」ですので焦がさずに均一に火を入れたい料理に向いています。対して鉄フライパンは「温まりにくく冷めにくいフライパン」ですのであまり動かさずにじっくりと火を通していく料理に向いています。
またフッ素樹脂加工のフライパンは「食材がくっつかない」「油が少なくて済む」「酸やアルカリに強い」などの特徴を有しています。
- アルミフライパン:パスタやソースなど
- 鉄フライパン:ステーキやハンバーグなど
- フッ素樹脂加工のフライパン:すべての料理をそつなくこなす
汎用性が高いのはフッ素樹脂加工のフライパンです。
アルミフライパンや鉄フライパンは専門性の高いフライパンです。たとえばアルミフライパンはパスタには向いていますがハンバーグは上手に焼けません。鉄フライパンはハンバーグには向いていますがソースは上手に作れません。
これらのことからもアルミフライパンや鉄フライパンは(家庭料理において)必ずしも必要な道具とは言えません。
まとめ・アルミフライパンのメリットは?
アルミニウムは熱伝導率に優れた素材です。
熱伝導率に優れているからこそ微妙な温度管理が可能になります。この特徴があるからこそパスタやソースなどの仕上がりが良くなります。しかし用途が限られていることや扱いにくさがあることからも家庭料理の範疇であれば必要性は低いといえます。
おすすめできる調理道具ではありますが、必ずしも必要な道具でもありません。