沸騰の判断基準は?

お湯の温度は料理の仕上がりを左右します。

鍋でお湯を沸かしていると早い段階から気泡が生じるようになります。場合によっては70~80℃ほどであっても「沸騰間際なのではないか?」と勘違いしてしまうほどです。このタイミングを沸騰と判断してしまうと料理の失敗につながります。

水の沸騰を知ることは料理の上達にもつながります。

カヤカヤ

今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 水が沸騰するとどのような状態になるのか?
  • 温度計を使わずにおおよその温度を知るためには?
  • カップ麺などに失敗したことがある。

沸騰すると液体全体で気化が起こります。

標準大気圧下での水は100℃で沸騰しますが、96℃以上になると鍋底付近での部分的な沸騰がはじまるために沸騰(液体全体で気化が起こっている状態)と見誤られてしまうことがあります。部分的沸騰である場合、水全体の平均温度が100℃には遠く及ばないということにもなりかねません。

沸騰の判断には注意が必要です。

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水を加熱すると2種類の気泡が生じる?

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溶存気体による気泡

溶存気体

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水分子の気化による気泡

水分子の気化

水を加熱すると2種類の気泡が生じます。

標準大気圧下における水は100℃で沸騰します。沸騰すると液体全体から水分子の期かが起こるため、表面にはドーム状の大きな泡が連続的に立つようになります。しかし100℃を大きく下回る温度であっても沸騰と見間違えてしまう可能性のある気泡が生じることもあります。

これは溶存気体による気泡です。

  • 90℃以下での気泡:溶け切れなくなった溶存気体による気泡
  • 100℃での気泡:水分子が気化することによる気泡

気泡と沸騰はイコールではありません。

たとえばお風呂ほどの温度であっても鍋肌には無数の気泡が付着します。これらは温度の上昇に伴い次第に大きくなって表面に浮いてくるようになります。70~80℃ほどにもなると「沸騰間近なのではないか?」と見誤ってしまっても不思議ではないほどになることもあります。

溶存気体による気泡は90℃付近で落ち着きます。

沸騰していても温度が低いことがある理由は?

水は100℃で沸騰して水蒸気になります。

しかし材質(熱伝導率)や形状(対流)などの違いによっては大なり小なりの熱ムラができてしまうことは避けられません。熱ムラによる部分的沸騰を全体の沸騰だと見誤ってしまうと実際の平均温度は100℃を大きく下回ってしまうことになります。それでは料理の仕上がりに影響してしまいます。

水が沸騰する前の状態はおおよそ以下のようになります。

  • 90℃以下:溶存気体が減少して一時的に静かになる
  • 96℃以上:鍋底付近での部分的な沸騰がはじまる
  • 98℃以上:液体全体から水蒸気が発生して大きく泡立つ

料理における沸騰は大きな泡が立つ状態を指します。

水面にドーム状の大きな泡がたつということは、十分に攪拌されていて全体が98℃以上での沸騰状態にあるということになります。そのため料理のレシピなどに「沸騰させる」と記載されている場合には「連続的なドーム状の大きな泡」を目安にします。

このタイミングを見誤ってしまうとレシピの再現性は著しく失われます。

おおよその温度を判断するには?

おおよその水温を判断できると料理の腕が上がります。

たとえばお風呂のお湯は40℃前後ですので感覚で判断できます。次に60℃付近になると「触れるけど長くは触っていられない状態」になります。これは自動販売機などの温かいコーヒーと同程度の(多くは55℃前後に設定されている)温度です。

溶存気体による気泡が大きくなる70~80℃ほどになると、一瞬しか触れなくなります。

  • 40℃前後:長く触っていられる
  • 60℃前後:短時間であれば触っていられる
  • 70~80℃:一瞬なら触れる
  • 98℃以上:目視にて大きな気泡が確認できる

溶存気体の状態で判断する方法もあります。

水は40℃程度になると鍋底に溶存気体による気泡ができます。60℃程度になると小さな気泡が立ちはじめ、70℃程度になると気泡が増えていきます。さらに80℃程度になると気泡はすぐにはじけるようになり、90℃程度になると溶存気体による気泡は少なくなります。

それ以降(95℃以上)での気泡は沸騰によるものです。

まとめ・沸騰の判断基準は?

沸騰は液体が気化することにより起こります。

基本的に水の沸点は100℃前後になりますが、水が完全な沸騰状態に達する前には「溶存気体による気泡」や「部分的な沸騰による気泡」が生じます。これらの気泡を沸騰だと判断してしまうと温度が低すぎるために料理の仕上がりが悪くなります。

沸騰と指示されている場合には「水の表面にドーム状の大きな泡が連続的に立っている状態」までしっかりと加熱することがポイントになります。