調味パーセントは家庭料理にも役立ちます。
料理の難しさには味付けの難しさがあります。特に注意すべきが塩味であり、甘味は1%ほどズレていても問題なく食すことができますが、塩味が1%もズレてしまえば多くの料理において「美味しくない料理」になってしまう可能性が高くなります。
手間はかかりますが(特に味付けが苦手である場合には)覚えておいて損はありません。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 料理の味付けが安定しない
- 塩少々などの加減が分からない
- 食材を余らせたくない(無駄にしたくない)
調味パーセントは食材に対する調味料の割合です。
本来の調味パーセントは施設などにおける作業の標準化(誰が調理をしても同じ味付けになるようにすること)に利用されていますが、家庭料理においても「味付けの失敗が少なくなる」「レシピの改善に役立つ」「食材を余らせにくくなる」などのメリットが得られます。
感覚的ではなく論理的な調理には不可欠なテクニックであるともいえます。
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調味パーセントの考え方は?
調味パーセントでは調味料の割合を示します。
料理を美味しく仕上げるためには「料理の三加減(味加減、火加減、盛り加減)」が大切だと言われていますが、調味パーセントを用いることにより味加減の再現性が高くなります。個人の好みや食材の鮮度などにより加減する必要はありますが、味付けのブレは大幅に軽減することができます。
計算方法は次の通りです。
調味パーセント(%)
100
特に重要なのは塩分です。
味付けにおいて糖分が1%ほどズレてしまっても問題なく食べることができますが、塩分が1%もズレてしまえばほぼ確実に美味しくない料理になります。これはヒトの味覚が本能的に(体液とほぼ同じ浸透圧を持つ)0.9%前後の塩味を美味しいと感じるためです。
多少乱暴ではありますが、食材に対して0.9%の食塩を加えればそれなりの味付けになります。
醤油や味噌での換算方法は?
塩味や甘味は塩や砂糖だけではありません。
調味パーセントのおける塩分は食塩、糖分は砂糖の量で示されています。しかし塩味は食塩だけではありませんし、甘味は砂糖だけではありません。そのため醤油や味噌、本みりんなどを使用する場合には換算する必要性が出てきます。
以下は標準的な換算係数(重量比)です。
- 醤油(濃口醤油):塩=7:1
- 味噌(辛口みそ):塩=8:1
- 本みりん:砂糖(上白糖)=3:1
使用頻度の高い調味料は事前に計算しておくと便利です。
食品成分表の数値を例にすると、濃口醤油の塩分含有量は14.5%、淡色辛味噌の塩分含有量は12.4%です。このことからも調味パーセントの塩分1%に相当する分量は濃口醤油で6.9g(100÷14.5=6.9)、淡色辛味噌で8.1g(100÷12.4=8.1)ということになります。
本みりんは少し複雑になります。
本みりんに含まれている糖分は約40~50%ですが、その多くがグルコースやその他のオリゴ糖であるために砂糖(ショ糖)よりも甘味が少ない(グルコースの甘味度は約0.6~0.7)という特徴を持ちます。そのため砂糖と同等の甘さにするためには3倍量が必要になります。
これらのことからも醤油、味噌、本みりんの換算値は7、8、3となります。
主な料理の調味パーセントは?
味付けには一般的に好まれやすい濃さがあります。
特に塩味はストライクゾーンの狭い味覚であり、体液の浸透圧と等張になる濃度(約0.85%)を本能的に美味しいと感じやすくなります。そのため食材の味を引き立てるためには0.3%前後、食材の持ち味を味わうためには0.6%前後、多くの料理には0.9~1.2%ほどの塩味で調味されることが多くなります。
以下は食品成分表からの一部引用です。
料理名 | 調味対象 | 塩分パーセント | 糖分パーセント | |
---|---|---|---|---|
汁物 | みそ汁 | だし | 0.6~0.8 | – |
すまし汁 | だし | 0.5~0.7 | – | |
焼き物 | 豚肉のくわ焼き | 肉 | 1~1.5 | 2~3 |
ハンバーグ | 材料 | 0.6 | – | |
ごはん | 炊き込みごはん | 米 | 1.5 | – |
チャーハン | 飯 | 0.5~0.8 | – | |
その他 | 野菜のいため物 | 材料 | 1~1.2 | 0.5 |
茶碗蒸し | 卵液 | 0.5~0.7 | – | |
野菜の即席漬け | 材料 | 1.5~2 | – |
あくまでも標準的な数値になります。
料理を美味しく感じられる要因は、単に味覚だけの問題ではありません。料理の美味しさには「食べ物の状態」「食べる人の状態」「食べるときの環境」の要素が互いに影響し合っていますので、レシピを完成させるためには目的に合わせて加減していく必要があります。
このようなアプローチができるところは調味パーセントの強みです。
調味パーセントを使った味付け方法は?
実際に調味パーセントで調理をしていきます。
まとめ・調味パーセントとは?
調味パーセントは材料に対しての調味料の割合です。
料理には先人たちが積み重ねてきたことによる標準的な味(一般的に好まれる味)があります。もちろん標準的な味が絶対的に美味しい味であるとは限りませんが、料理の味付けに悩んでいる場合には心からおすすめできるテクニックです。
塩分のコントロールだけでも驚くほどに味が決まると実感できます。