調味パーセントは家庭料理にも役立ちます。

料理の難しさには味付けの難しさがあります。特に注意すべきが塩味であり、甘味は1%ほどズレていても問題なく食すことができますが、塩味が1%もズレてしまえば多くの料理において「美味しくない料理」になってしまう可能性が高くなります。

手間はかかりますが(特に味付けが苦手である場合には)覚えておいて損はありません。

カヤカヤ

今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 料理の味付けが安定しない
  • 塩少々などの加減が分からない
  • 食材を余らせたくない(無駄にしたくない)

調味パーセントは食材に対する調味料の割合です。

本来の調味パーセントは施設などにおける作業の標準化(誰が調理をしても同じ味付けになるようにすること)に利用されていますが、家庭料理においても「味付けの失敗が少なくなる」「レシピの改善に役立つ」「食材を余らせにくくなる」などのメリットが得られます。

感覚的ではなく論理的な調理には不可欠なテクニックであるともいえます。

調味パーセントの計算方法は?

調味パーセントは調味対象に対する分量を求めます。

調味料の重量=材料の重量(g)×
調味パーセント(%)
100

重要度の高いのは塩分パーセントと糖分パーセントです。

たとえば調味対象が120gで「塩味0.9%、甘味3%」の味付けをしたい場合には、「120×0.9÷100=1.08」「120×3÷100=3.6」より食塩1.08gと砂糖3.6gになります。食塩を醤油や味噌、砂糖を本みりんなどの置き換える場合には換算して同等の塩分や糖分になるようします。

以下は標準的な換算係数(重量比)です。

  • 醤油(濃口醤油):塩=7:1
  • 味噌(辛口みそ):塩=8:1
  • 本みりん:砂糖(上白糖)=3:1

使用頻度の高い調味料は事前に計算しておくようにします。

食品成分表によると濃口醤油の塩分含有量は14.5%、淡色辛味噌の塩分含有量は12.4%になっています。このことからも「100÷14.5=6.9」「100÷12.4=8.1」より、醤油6.9g、味噌8.1gが食塩1gに相当する分量であることになります。

次に甘味として利用されることの多い本みりんです。

本みりんに含まれている糖分は約40~50%ですが、その多くがグルコースやその他のオリゴ糖であるために砂糖(ショ糖)よりも甘味が少ない(グルコースの甘味度は約0.6~0.7)という特徴を持ちます。そのため砂糖と同等の甘さにするためには3倍量が必要になります。

これらのことからも醤油、味噌、本みりんの換算値は7、8、3となっています。

解説

調味パーセントの計算は(基本的には)外割です。たとえば調味対象100gに2%塩分の味付けをする場合は「調味対象100g+食塩2g(または醤油14gや味噌16g)」となります。

主な料理の調味パーセントは?

料理には一般的に好まれる味の濃さがあります。

特に塩味には人間が生理的に「美味しい」と感じられる塩分濃度(0.85%)がありますので、多くの料理では0.6~2%ほどの使用範囲で調味されています。このことからも初めての料理には標準的な調味パーセントの濃度を参考にすると大きな失敗はしにくくなります。

以下は食品成分表からの一部引用です。

調味対象 塩分パーセント 糖分パーセント
みそ汁 だし 0.6~0.8
豚肉のくわ焼き 1~1.5 2~3
炊き込みごはん 1.5
チャーハン 0.5~0.8
野菜の即席漬け 材料 1.5~2

あくまでも標準的な数値になります。

料理を美味しく感じられる要因は、単に味覚だけの問題ではありません。料理の美味しさには「食べ物の状態」「食べる人の状態」「食べるときの環境」の要素が互いに影響し合っていますので、レシピを完成させるためには目的に合わせて加減していく必要があります。

このようなアプローチができるところは調味パーセントの強みです。

塩味(塩分パーセント)

塩味はストライクゾーンの狭い基本味です。

約0.85%濃度の食塩水を生理的食塩水と言います。これは体液の浸透圧と等張になる濃度であり、本能的に美味しいと感じられやすい塩分濃度になります。そのためみそ汁などの汁物は0.6~0.9%程度、主食とともに食べる主菜や副菜は0.9~1.5%程度に味付けされることが多くなります。

塩味の濃度を間違えると料理は台無しになります。

甘味(糖分パーセント)

甘味はストライクゾーンの広い基本味です。

塩味の使用範囲が0.6~2%であるのと比べ、甘味の使用範囲は3~35%と言われています。そのため甘味の分量を間違えてしまっても、塩味の間違いほどの失敗にはつながりません。調味パーセントにおける甘味はショ糖(スクロース)の甘さが基準になっています。

ちなみに多くの清涼飲料水がショ糖濃度10%になっているのは、体液の浸透圧に対して等張液となるショ糖濃度が約10%であるためです。

酸味

酸味は好みのわかれる基本味です。

塩味と甘味に次いで調味パーセントで管理されることの多い酸味ですが、酸味には認知閾値が低く嗜好による個人差が大きいという特徴があります。認知閾値の低さは物質の生理作用に対する防衛本能が示されている結果でもありますので、大まかな目安量はあるものの「少し控えて調味する」ことがポイントになります。

また酸味の種類(お酢の酢酸や柑橘類のクエン酸など)による違いもあります。

調味パーセントを使った味付け方法は?

実際に調味パーセントで調理をしていきます。

  1. 【材料の下ごしらえをする】

    step.1

  2. 【水気を切ってから重さをはかる】

    step.2

  3. 【調味料の計算をする】

    step.3

  4. 【調理する】

    step.4

まとめ・調味パーセントとは?

調味パーセントは材料に対しての調味料の割合です。