ぬか床には理屈があります。

古くから日本の家庭料理として親しまれているぬか漬け(ぬか床)ですが、ポイントが押さえられていないと「おいしく漬からない」「すぐに酸っぱくなってしまう」「アルコール臭くなってしまう」「カビが生えてしまう」「腐ってしまう」などの問題が生じてしまうことがあります。

ぬか床の管理に挫折してしまわないためにも(特にはじめてのぬか床の管理である場合には)基本に忠実であることをおすすめします。

カヤカヤ

今回の記事は次のような人におすすめ!

  • これからぬか漬けを始めたい
  • ぬか漬け(ぬか床の手入れ)に挫折したことがある
  • ぬか床が腐らない仕組みを知りたい

ぬか床はシンプルに作ることをおすすめします。

ぬか床には様々なレシピが存在していますが、「塩分濃度6~8%」「pH4.5前後の水素イオン指数」によって腐敗菌から守られていることには違いがありません。そのため「まずは腐らせずに管理していくこと」が最初のハードルとなります。

自分好みの味に変えていく工夫はぬか床の手入れに慣れてきてからでも遅くはありません。

必要最小限のぬか床の材料とは?

ぬか床に必要なのは米ぬかと食塩です。

極論を言えば「米ぬかに対して13~15%の食塩と120%ほどの水を加えて混ぜ合わせておく」だけでもぬか床になります。うま味や風味は「微生物の代謝物」「米ぬかに含まれているタンパク質が分解される」「野菜に含まれている成分」などにより増していきます。

しかし立ち上げたばかりのぬか床の味が物足りないものであることは否めませんので、最低限のうま味だしとアクセント、防虫目的のために「昆布と唐辛子」を加えることをおすすめします。

たったこれだけの材料でも数ヵ月後には立派なぬか床になり、数ヵ月から数年後には各家庭により異なるぬか漬けの味になります。

時間はかかりますが手放せないものになるはずです。

補足

好みにもよりますが山椒の実と柚子の皮はぬか漬けの風味を格段に良くしてくれる食材です。個人的にはなくてはならないものだと思っています。しかしどちらも季節性の食材であるため、旬の季節にはぬか床のためにもストックしておくことをおすすめします。

基本のぬか床の作り方について

シンプルなぬか床の作り方です。

ぬか床のレシピには「だしを取って米ぬかに合わせる方法」や「動物性の食材を加えてうま味を強化する方法」などもありますが、立ち上げ時にこれらの方法を実施してしまうと極端にカビが生じやすく腐りやすいぬか床になってしまいますのでおすすめしません。

これらの方法に興味がある場合には、ぬか床の管理に慣れてきてからにしてください。

材料

  • 米ぬか … 2kg
  • 食塩(並塩) … 260~300g
  • 水 … 2.4L
  • 昆布 … 適量
  • 唐辛子 … 適量(種は取る)
作り方

  1. 米ぬか、食塩、水を全体が均一になるように混ぜ合わせます。
  2. 昆布、唐辛子、捨て漬け野菜(新鮮な野菜の切れ端など)を漬けます。
  3. 表面を平らにならしてから側面に付いた米ぬかなどの汚れを拭き取ります。食品用の除菌スプレーがあればキッチンペーパーなどにしみ込ませて拭き取るとなお良いです。
  4. 数日おきに捨て漬け野菜をとりだして、新しい捨て漬け野菜を漬けなおします(暖かい季節は2~3日おき、寒い季節は1週間ほど放置しても大丈夫です)。
  5. 2週間ほどして酸味の出てくるタイミングが本漬けをできる合図です。
  6. 以降は(室温やぬか床の状態にもよりますが)1日1回ほどの頻度で天地返し(混ぜ合わせること)をするようにします。

食塩は発酵スピードに影響します。

基本的に肌寒い季節から始める場合には260g(米ぬかの13%)、暖かい季節から始める場合には300g(米ぬかの15%)をおすすめします。これによりぬか床の塩分濃度は6~7%ほどになり耐塩性を持たない腐敗菌の増殖しにくい状態になります。

また立ち上げ以降は味をみながらの塩分管理をすることになりますので、最初の塩分濃度(6~7%ほど)の塩味を覚えておくことをおすすめします。

解説

天地返しとはぬか床の底と表面を入れ替えるように混ぜ合わせることです。これにより好気性の微生物と嫌気性の微生物とのバランスが良くなります。また本格的なぬか床の熟成には早くても3カ月ほど(夏は2カ月、冬は4カ月ほど)の時間を要しますので気長に管理を続けていくことをおすすめします。

ぬか床容器の選び方は?

少し大きめの琺瑯容器をおすすめします。

ぬか床容器の材質にはプラスチック、琺瑯容、陶器、木桶などがあります。ぬか床のことだけを考えれば陶器や木桶がおすすめですが、毎日の手入れを考えると清潔に管理をできて見た目の良い琺瑯容器がおすすめです(続けられるのかが不安な場合はプラスチック容器も悪くはありませんが、いずれは琺瑯容器が欲しくなります)。

以下は材質によるメリットとデメリットです。

メリット デメリット
プラスチック 安価、軽量 におい残り
琺瑯 清潔 温度変化が大きい
陶器 温度変化が少ない 重い、割れるリスクがある
木桶 温度変化が少なく水分量の管理が容易 高価、扱いの難しさ

形状は管理方法により異なります。

ぬか床の管理には大きく常温管理と冷蔵庫管理の2通りがあります。ぬか漬けのおいしさを優先するのであれば常温管理がおすすめであり、手入れの容易さを優先するのであれば冷蔵庫管理がおすすめです。また通常は常温管理で真夏や長期外出時に冷蔵庫管理に切り替えるパターンもあります。

常温管理であれば寸胴型、冷蔵庫管理であれば角型を選ぶのがセオリーです。

米ぬかの入手方法は?

ぬか床には生ぬかをおすすめします。

米ぬかには精米時に出る生ぬかと生ぬかを加熱殺菌した炒りぬかがあります。炒りぬか特有の風味が好まれることもありますが、基本は生ぬかです。しかし生ぬかはスーパーなどでは販売されていませんので入手が困難である場合があります。

近所の米穀店や家庭用精米機から入手できるのが理想ではありますが、難しい場合にはコイン精米機のぬか置き場から入手しても問題はありません。

とにかく鮮度の良い生ぬかを手に入れることがポイントになります。

おすすめの食塩が並塩な理由は?

並塩を使うとぬか漬けの食感が良くなります。

食塩には大きく精製塩と並塩(粗塩などと表記されているもの)がありますが、ぬか漬けにはミネラル分が豊富で塩味に丸みのある並塩をおすすめします。並塩に含まれているニガリ(塩化マグネシウムや塩化カルシウムなど)により味が複雑になりぬか漬けがおいしく感じられるようになります。

またニガリには「野菜の組織と結合して不溶性にする働き」があるためにぬか漬けの食感(歯ざわり)が良くなります。

解説

通常の調理における食塩の微量成分による影響はごくわずかです。しかし使用量の多い漬物や保存漬けにおける微量成分による味への影響は無視できるものではありませんので、特別な理由がなければミネラル分の多い並塩の使用をおすすめします。

まとめ・ぬか床の作り方は?

ぬか床はシンプルに作ることをおすすめします。

ぬか床にはおいしく漬かるように工夫された様々なレシピが存在します。しかし塩分濃度を低くするほどに、うま味の素となる食材を豊富に加えるほどにぬか床は傷みやすくなります。短期間でのおいしさを追求して食中毒を起こしてしまっては目も当てられません。

ぬか漬けには時間によってしか生みだせない味(増殖に時間のかかる微生物による味)がありますので、まずは腐らせないことを優先します。

長い目で見ればはじめはシンプルに作った方がおいしくなります。