
塩はぬか漬けの味を左右します。
ぬか漬けを漬けるぬか床は米ぬかを乳酸発酵させて作られています。主な材料は米ぬか、塩、水だけです。たったこれだけでも美味しく漬かるぬか床になります。材料がシンプルであるからこそ米ぬかと塩の質が重要であり、塩にはぬか漬けの味や食感を左右する影響力があります。
塩であれば何でも良いわけではありません。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- ぬか床にあら塩をおすすめする理由は?
- ぬか漬けの食感を良くするには?
- 美味しいぬか漬けの塩分濃度とは?
ぬか床にはあら塩がおすすめです。
あら塩とは精製されていない天然塩のことであり、粒子が粗くニガリ(塩化マグネシウムや塩化カルシウムなど)を多く含んでいます。ミネラル分が豊富であるために「角のない塩味」や「野菜の食感が良くなる」といったメリットが得られます。
お漬物全般にあら塩が好まれるのはこのためです。
スポンサーリンク
ぬか漬けの塩分濃度と足し塩について
ぬか漬けの塩分濃度は2~5%と言われています。
もちろん好みの漬かり具合には個人差があります。サラダ感覚で食べることのできる浅い漬かり加減(0.6%ほど)が好みの方もいれば、ご飯のおかずになる程度の塩分濃度(0.9~1.5%ほど)のぬか漬けの味が好みの方もいるはずです。
いずれにしても問題となるのは「ぬか床の塩分濃度は野菜を漬けることで低くなっていく」ことです。
ぬか床は6~8%ほどの塩分濃度と乳酸菌による低い水素イオン指数(pH4.3程度)により雑菌(腐敗菌)の増殖を防いでいます。塩分濃度が低くなれば微生物のコントロールがうまくいかなくなり過発酵や異臭の原因になります。最悪の場合はぬか床が腐ってしまい食中毒の原因にもなりかねません。
ぬか床には足し塩が必要不可欠です。
足し塩にもあら塩がおすすめです。しかし焼き塩にして使用している場合には注意が必要です。焼き塩にすると塩化マグネシウムが酸化マグネシウムへと変化して水素イオン指数(pH)が上昇します。ぬか床は塩分濃度と乳酸による酸性pHにより腐敗菌の増殖を防いでいますので焼き塩が傷みの原因になる可能性があります。
塩分濃度と微生物の活性について
ぬか床の発酵スピードは塩加減でコントロールできます。
一般的なぬか床は6~8%ほどに管理されていますが、必ずしも6~8%でなければいけないということではありません。夏場の常温管理では塩分濃度を高くしなければ過発酵によりぬか床が傷んでしまいますし、冬場は意図的に塩分濃度を低くして発酵を促すこともあります。
あくまでも基準値だと考えてください。
近年のぬか床レシピは減塩傾向にありますが、古い書籍(調理学実習など)で紹介されているレシピでは当たり前のように10%を越えています。ぬか床の手入れは塩分濃度が低いほどに難しくなりますので、(特に常温管理の場合は)少し高めに調節することをおすすめします。
ぬか漬けの味(塩分濃度)は漬け時間で調整できますので問題はありません。
あら塩で食感が良くなる仕組みについて
あら塩はぬか漬けの食感を良くします。
あら塩(精製されていない天然塩)には豊富なミネラル分が含まれています。あら塩に含まれている塩化マグネシウムをはじめとしたミネラル分には「野菜の細胞をつないでいる食物繊維の一種(ペクチン)を部分的に不溶性にする働き」があるためにぬか漬けの食感が良くなります。
対して精製された塩にはミネラル分が含まれていません。
またミネラル分の少ない塩の塩味はシャープであり、肉料理などには重宝されるもののぬか漬けには好まれません。これらのことからもぬか漬けやぬか床の手入れに使う塩にはあら塩をおすすめしています。
まとめ・ぬか床にあら塩をおすすめする理由は?
ぬか漬けにはあら塩がおすすめです。
あら塩には豊富なミネラル分(塩化マグネシウムや塩化カルシウムなど)が含まれています。ミネラル分が含まれていることにより「角のない塩味」や「野菜の食感(歯ざわり)が良くなる」などのメリットが得られます。あら塩はぬか床の立ち上げ時から野菜の板ずり、足し塩、足しぬかなど幅広く使えます。
ぬか漬け(ぬか床)にはなくてはならない塩です。