小麦粉は用途により使い分けます。
パンを焼くための小麦粉とスポンジケーキを焼くための小麦粉は違います。パンには硬質小麦を製粉した強力粉が適しており、スポンジケーキには軟質小麦を製粉した薄力粉が適しています。薄力粉でパンを焼くと弾力のない詰まった仕上がりになり、強力粉でスポンジケーキを焼くと弾力のある重たい仕上がりになります。
そのため専門性の高い小麦粉には小麦の品種や産地、タンパク質含有量、灰分含有量などの記載があります。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 小麦粉の分類方法は?
- 小麦粉の種類による使い分けは?
- タンパク質がポイントになる理由は?
小麦粉にはいくつかの分類方法があります。
小麦粉の分類方法には大きく「タンパク質含有量」と「灰分(外皮や胚芽などに含まれているミネラル分の含有量)」の2種類があります。タンパク質含有量での分類は薄力粉、中力粉、強力粉などであり、灰分での分類は特等粉、1等粉、2等粉などになります。その他には粗挽きや細挽きなどのように粒度の違いで分類されることもあります。
これらの違いは料理の仕上がりに大きく影響します。
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タンパク質含有量による分類
国内の小麦粉は主にタンパク質含有量で分けられます。
タンパク質含有量の少ない方から薄力粉、中力粉、(準強力粉)、強力粉です。小麦粉に含まれているタンパク質の80%以上はグルテニンとグリアジンです。グルテニンとグリアジンには捏ねることでグルテン(粘弾性のある網目構造)を形成するという性質があります。
そのためタンパク質含有量による分類は効率的です。
タンパク質(%) | 湿麩:水を含んだグルテン(%) | |
---|---|---|
強力粉 | 11~13 | 35 |
中力粉 | 10 | 25~35 |
薄力粉 | 8以下 | 25以下 |
基本的には小麦品種による違いです。
小麦のタンパク質含有量は品種により異なります。たとえば強力粉にはタンパク質含有量の大きな硬質小麦(ガラス質小麦)が利用されていますし、薄力粉にはタンパク質含有量の小さな軟質小麦(粉質小麦)が利用されています。
強力粉がサラサラしていて薄力粉がしっとりとしているのはこのためです。
小麦粉の使い分けについて
小麦粉は使い分けられます。
国内の小麦粉はタンパク質含有量により3~4種類ほどに分けられています。小麦粉に含まれているタンパク質にはアルブミン、グロブリン、グリアジン、グルテニンなどがありますが、料理の仕上がりに大きな影響力を持つのはグルテニンとグリアジンです。
グルテニンとグリアジンには物理的な力が加わることによりグルテン(粘弾性のある網目構造)を形成するという性質があるためです。
- 強力粉:パンなど
- 準強力粉:パンや麺など
- 中力粉:麺や菓子など
- 薄力粉:菓子や料理など
グルテンは料理の仕上がりに大きな影響力を持ちます。
たとえばパン(発酵パン)はグルテンの粘弾性を利用して膨らませていますので、グルテンが少なければ詰まった仕上がりになります。また天ぷらはグルテンが少ないことにより軽い食感を生み出していますので、グルテンが多ければ重い仕上がりになります。
小麦粉は料理の種類や仕上がりのイメージにより使い分けられます。
灰分含有量による分類
小麦粉には等級による分類もあります。
小麦粉は小麦を製粉して作られていますが、精製度により灰分が異なります。灰分とは外皮や胚芽などに含まれているミネラル分のことであり、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄などがこれに当たります。
小麦粉の等級は灰分含有量による分類になります。
灰分含有量(%) | 用途 | |
---|---|---|
特等粉 | 0.3~0.35 | パン、麺、菓子など |
1等粉 | 0.35~0.45 | パン、麺、菓子、パン粉など |
2等粉 | 0.45~0.65 | パン、パン粉など |
3等粉 | 0.7~1.0 | グルテンやデンプンなど |
末粉(スエコ) | 1.2~2.0 | 飼料など |
小麦粉として広く普及しているのは2等粉までです。
等級は小麦粉の性質(タンパク質の種類や量)による分類ではありません。あくまでも灰分(外皮や胚芽などの含有量)による分類になりますので、料理の仕上がり(小麦粉の風味など)をイメージして使い分けられることになります。
これらのことからも「強力1等粉」などのように表記されます。
まとめ・小麦粉の種類とは?
小麦粉には大きく2種類の分類方法があります。
それが強力粉、中力粉、薄力粉などのタンパク質含有量による分類方法と、特等粉、1等粉、2等粉などの灰分含有量による分類方法です。前者はグルテンの生成量への影響力を持ち、後者は色味や風味などへの影響力を持ちます。
小麦粉は料理の仕上がりをイメージして選ぶ必要があります。